おめめの歯形

自分の足跡を残すというより、必死に食らいついて歯形くらいしか残せない

パーセンテージ

普段、テレビを見ない私が、たまたまつけた画面に、ちょっとゴツめの女性がインタビューを受けていた。

 

番組のワンコーナーらしく、自分が思う、もしくは、他人から似ていると言われる芸能人を答えるというもの。

さらにその後番組で、どのくらい似ているか機械を使用してパーセンテージを出すという、結構エグいものだった。

 

「口元とか、よく言われます」

先ほどの、ちょっとゴツめ女性がアピールしており、私は広瀬香美かな?と思っていたのに

 

広末涼子です」

って答えたもんだから、1人なのに思わず

「ふざけんなよ」と言っていた。

 

「おいおい、2パー、2パーだよ、君の広末要素」

と思っていたのに

 

「67%」

って番組の機械で出たもんだから、

1人なのに思わず

「ほぼ広末じゃん!」と叫んでいた。

 

悔しかった。

君でほぼ広末なの?

そうなの?

 

私だって色々言われたことあるもん!と、

いらない対抗心が芽生えた。

 

過去にお世辞でも似ていると言ってもらえた、美女たちの面々を思い浮かべ、

そのうちの誰か1人くらい、もしかしたら高いパーセンテージが出るかもしれない。

 

私はスマホで検索を始めた。

【芸能人 似ている アプリ】

上記のワードで出たアプリは4つほどで、

そのうち最も評価がいいものをダウンロードした。

 

正直、バカなことをしていると思った。

これは誰の為のものなんだ。

この時間はなんなんだ。

 

アプリのダウンロードが終わり、

早速起動してみる。

 

男性か女性を選び、

ジャンル(すべて、女優、モデル、タレントetc...)を選び、

自撮りする流れだ。

 

自撮りの瞬間が一番キツかった。

自分、ヤバイわ、と思った。

30オーバーで、何やってんの?

大丈夫?

美女に近づきたいなら、今すぐホットヨガでもやって、マクロビ食べて、インスタにあげたほうがいいんじゃない?

 

否。

私はホットヨガをやりたくないし、マクロビを食べたくもねぇ!

(※インスタも辞めたわ!)

悔しいんだ!今すぐパーセンテージが欲しいんだ!

 

女性と、ジャンルはすべてを選択し、

意を決して自撮りした。

 

スッピンだ。

表情は笑顔とも考えたが、ここは真剣勝負と思い、真顔で自撮りした。

 

診断スタートのボタンを押す。

アプリが私の顔を照合するのに、数秒かかっている。

 

パッと画面が切り替わり、人物の名前が出た。

 

蟹江敬三

 

二度見した

 

蟹江敬三

 

カニエケイゾウ、、、

 

あーうん、うん、好き。

亡くなってしまったけどね。

演技も良かったし、そう、

声もね、渋くてさ。うん。

 

、、、、

 

 

ちげーーーーーーーーーーーーー!!!!

 

色々ちげーーーーーーーーーーー!!!

 

そーゆーことじゃあないんだよ!

 

おい、クソアプリ!!!

 

女性のセレクトどこいったんだよ。

何てことしてくれてんだよ。

もはや、何からツッコめばいいかわからず、

私の感情、迷子だわ。

 

今、できることがあるとすれば、

2パーっていった広末似の彼女への謝罪くらいだ。

トラへ

20年間「猫」そして「家族」として、

私と生きてくれてありがとう。

 

まぁ、私とは19で離れちゃったから、10年くらい、一緒に住めなかったけど。

 

私が地元を離れても、帰るといつでも穏やかに、あったかく迎えてくれるのはトラだけでした。

 

私はトラが好きで好きで、大好きで。

トラが「ニャア」ってなくと、本当に可愛くて、すぐチューして嫌がられたね。

でもトラ、優しいから、その後、ちゃんと甘えてくれて、お腹を見せてなでろってやってきたんだよ。

 

とっても食いしん坊で、途中から太っちゃって、糖尿病になっちゃったんだよね。

 

お母さんのせいもあるけど、もっと私も気を付けてあげれば良かった。

ごめんね。

 

大変な手術を頑張ったあとは、急激に痩せてしまったね。

それでも食欲は旺盛で、なんか安心してたの。やっぱりもっと、気をつけてあげれば良かったかな。

 

トラが生きている中で、家庭のゴタゴタに巻き込んで、トラは何回も引越しをしたよね。

疲れたよねぇ、ごめんね。

 

トラを可愛がってたおばあちゃんもいなくなった時は、トラも寂しかったよね。

ここ数年は、お母さんが受け入れた野良猫もやってきて、本当は甘えたかったはずなのに、大人で優しいトラは、我慢してみんなと仲良くしてくれたね。

 

思い返しても、トラの良いところばかりで、こんなに可愛くて仕方なくて、性格の良い猫ちゃんに出会えて、私はラッキーでした。

 

昨日ね、お母さんからトラが危ないって連絡もらった時、また?まだ大丈夫でしょって思ったの。

ほら、これで3回目くらいでしょう?毎回帰っても、トラ元気でさ、ここ最近はすっかり歳をとっちゃったけど、帰ってはトラをキレイにするの、楽しみだったんだよ。

でも、目ヤニとか、鼻とか、もっと優しく吹いてあげれば良かったね。ごめんね。

 

で、今回ね、仕事でとても疲れていて、先週末もロクに休めなかったから、久々の休みになりそうで、私ね、帰るの躊躇ってたの。

最低だよね。

トラが苦しんでる、自意識過剰かもだけど、私に会いたいかもしれないのに。

最低。

 

でも、お母さんが泣き出すし、送ってきてくれた画像みて、あぁ、今回ばかりはダメだなぁと思って、金曜日に仕事終わらせて、そのままトラに会いに行ったんだよ。

 

そしたらもう、片目が見えないし、立てないし、声にならない声でなくし。

私は頑張って、絶対泣かないと決めて、一日中、ずーっと、夜もずーっと、トラのそばにいたんだけど。

 

今朝、トラはおばあちゃんのところへ行っちゃったね。

段々弱ってくトラを見てね、どうか楽になってって思ってたの。

長生きしてくれたもん、もう最後はね、苦しんで欲しくなくて。

でも、病気のせいかなぁ?やっぱりずーっと苦しんでしまって。

あぁ、もっと健康体で逝かせてあげたかったなぁって。

トラは怒ってる?

 

最後の最後は、やっぱり涙が止まらなくて、楽に逝かせてあげたいのに、もっと長生きしてほしくて、連れて帰りたいくらい愛おしくて。

なんでもっと大切にしなかったの?なんでもっと早く帰ってこなかったの?後悔ばかりでした。

おばあちゃんの時とおんなじ。

人間ってバカだねぇ。

バカなこと、繰り返してんの。

 

お母さんはずーっと泣いてたね。お母さんもトラが大好きだったんだよね。

私は涙と鼻水まみれで、冷たくなったトラを、お湯と濡れタオルでキレイにしたけど、寒かった?大丈夫?

 

トラ、もう天国へ行った?

おばあちゃんにあった?

 

おばあちゃんとトラは食いしん坊だったから、2人で沢山、美味しいもの食べてね。

 

トラ、大好き。

 

ありがとう、本当に。

 

私はこんな生き方だから、

天国へ行かないかも知れないけど、

万一、天国へ行ったら、

今度はずーっと一緒に暮らそうね。

 

いーっぱい、なでさせてね。

 

そして私を見上げて

「ニャア」って言って。

 

ことばとかもじとか

このブログは、全体に公開しているものの、見ている人はゼロに等しい。

 

自分の気持ちの居場所を作りたくて始めてみたものだし、全然更新しないから、何かに引っかかったりして身バレする心配もない。

 

このようなサービスを使っていて矛盾していると思うけど、普段、現実にいる私を誰も知らないから安心なんだ。

これを書いているのが「私」と誰にも知られたくない。

 

巷のSNSもそうだ。

便利で誰かと繋がれる分、自分の情報がダダ漏れ。誰にでも存在を知られてしまう。

だからfacebookも辞めたし、インスタも辞めた。

私にとってのSNSは、恐怖だ。

 

さて、私の趣味の1つに映画鑑賞がある。

映画館に足を運ぶのは月に3回程度だが、レンタルや月額サービスでは1日に3本観たりする。

 

自分の記録として、アプリを使うことにした。

観た映画と、その感想を記録しておくのだ。

そのアプリは他人とも繋がれる。

私は身バレしない程度の情報のみを公開していたはずだが、友人にバレた。

それもそのはず、その友人とは数回映画を一緒に観に行っており、私自身が「このアプリ使っててー」とうっかり言ってしまったのだ。

 

友人はアプリなどに興味がないと思っていたら、どうやらそうでないらしく、友人もアプリを使い始めたのだ。

 

私の映画の感想を見た友人からは「普段のおめめじゃないよね」や「意外」と言われるまでは良かった。

面倒なのは、友人もアプリ内で映画の感想を残すようになった。

そうなってくると、私とものすごい好みが違うことがわかってしまった。

これじゃ、もう映画を一緒に観に行くことはできない。

さらに、私はアプリ内の自分は普段の自分と切り離しているが、友人は違ったのだ。

私が映画を観て感想を残すと、友人にも通知が届いてしまう。

すると友人から「◯◯観たんだね」などとLINEで連絡がくるようになってしまった。

 

私はまた1つ、自分を表現する場を失いそうだ。

大げさかも知れないが、それくらい私にとっては大事なアプリだった。

 

心がモヤっとする。

私はどうして心が広くないんだろう、映画なんて娯楽の1つだし、好みだって人それぞれだから気にしなくていいのに。

だけど、私は映画の感想でも、自分の言葉を残しているという自覚がある。

それは、実はとても本質的で、普段の自分では表現できないような事も、言葉や文字にできているという楽しみ方をしていたのだ。

友人とは楽しみ方が違っていたのだ。

 

私を知っている人に、私の書いたものを読まれる恐怖。

それと矛盾して、私を知らない人には、私の書いたものを読んでほしい自己承認欲求。

 

こんな面倒な自分にも辟易してしまう。

 

私はどうして、こんな事1つもうまくこなせないんだろう。

どうして、うまくできないんだろう。

 

私はそのうちアプリを辞めるだろうか。

600本近い映画の履歴と、300件近い感想を無かったことにするのだろうか。

たかだかアプリ。SNS

いっそ、もう全て辞めてみようか。

 

私は私を消せるのだろうか。

アイスクリーム

朝から。
イビキをかいて、電気、エアコンつけっぱなしで眠る主人をよそに。

私は飼い猫を病院へ連れてゆき、連日の雨で出来なかった洗濯物を乾かしにランドリーへゆき。

帰ってから家事を一通り済ませ。
やっと起きた主人にお腹が空いてないかの確認をし。

雨の毎日、週末も籠りがちになるので、主人を映画に誘うも今日は嫌だと断られる。

夕食にラーメンでもいいね、と言って1人でラーメン屋を調べる。主人は相変わらずテレビに夢中だ。

結局、お腹がさほど空いてない状態になり、スーパーへ主人と出かけた。

車内で。
行きも帰りも、最近読んだ小説の話をしたのは私だ。主人が勧めた小説だから、話も盛り上がると思ったのに、だいぶ前に読んだらしく、盛り上がらない。

帰って簡単な夕食を済ませた。

話題をと思い、芸能人の話をしたら、不快だと言われた。

不覚にも泣いてしまった。

私の何がいけないか、自分でもわかっている。
でも、私の何がいけないか、自分でもわからない部分がある。

主人は優しい。
私が寝ていたらパンを買ってきてくれたり、
愚痴も沢山聞いてくれる。

主人は仕事で毎日疲れてるだろうから、私は頼み事もお願い事も最小限に抑えてる。

でも、そうゆうことじゃない。
全然違う。

泣いたら謝られた。

きっと違う。
何かが違う。
絶対的に違う。

底なし沼にいるようで、心が折れる

誰も助けてくれない。

アイスを食べている途中で泣いたから、アイスはデロデロに溶けていた。

 

私も溶けてしまいたい。

10月は石原さとみからスタート

実家がある片田舎から、母親が上京してきた。

一緒に舞台観劇へ行くのだ。

東京駅で待ち合わせ、ランチをし、会場へ向かうスケジュールだった。

 

東京駅は連休の為か大混雑しており、どこのお店も並んでいると予想していたが、意外にどのお店も空いていた。

三連休のど真ん中の東京駅は、単なる目的地までの通過点でしかないようだ。

 

母の希望で定食屋に入り、簡単にランチを済ませて店を出たが、観劇までにはまだかなり時間がある。

せっかくなので東京駅の近辺でブラブラすることにした。

 

母は特に欲しいものがなかったが、私は先日からマスタード色のセーターを探していた。

カタチにもかなりこだわりがあるので、なかなか見つからず困っていた。

東京駅の近辺など、普段全く来ないので、ここで掘り出し物があるといいな、と思いマスタード色のセーターを探した。

 

色々な店を回る中、ふと、イエローのニットワンピースに目がとまる。

とてもとても素敵。

母も「おめめちゃん!これは可愛いわよ!」とガンガン勧めてくる。

でも、私が欲しいのはマスタード色のセーターで、しかもワンピースだと着回ししにくいし、と私自身は後ろ向き。

 

「あてるだけ!ね!鏡で!」

「や、いいよ、ホント」

このくだりを店前で繰り広げていたら、案の定、店員につかまった。

ホント、アパレルの店員って美人でスタイル良い人が多すぎ。

 

「ぜひ♪ご試着だけでも!」美人店員も勧めてくる。

「ほら!おめめちゃん!ほら!」

母の声も力む。

言っておくが、私は32歳と半年の立派な大人の女性だ。

母にとってはいつまでも子供だろうが、いちいち「おめめちゃん!ほら!」なんて言われる身にもなってほしい。

 

うーん、でも確かに可愛いな、と結局試着することに。

フェイスカバーだけ、お願いしますね」

そう言った美人店員に案内された試着室でパンプスを脱いだら、靴下に穴が空いていた。

美人店員はスルーしてくれたが、一気にこのイエローのニットワンピースを着る資格がないように思えた。

 

試着室でモタモタしていると、外で母と美人店員が盛り上がっている。

いつものことだが、母は褒められて喜び、普段大きめ声がさらに大きくなっている。

 

「田舎からでてきたんだけどねぇ、これから舞台を観に行くの!」

「わぁ!いいですね!素敵なお母様とお嬢様なので、客先でも注目されますね!」

「あら!嬉しい!おめめちゃん!聞いた?ねぇ!素敵ですって!」

 

聞こえているが、こっちはやっとニットワンピースを試着したところだ。外の会話になんてかまってられない。

試着室の鏡で見ると、ワンピースはめちゃくちゃ可愛い。

しかし、どうにも服に着られている感。

私の背が足りない、細さが足りない、顔の小ささが足りない、つまりは総合的に足りない。

着こなせないかな?

でも可愛いなぁ。

 

「おめめちゃん、着れた?」

母の催促で試着室の扉を開けた。

 

「わぁ!お似合いですぅ!とっても!」

マニュアル通りの台詞を美人店員からもらう。

「おめめちゃん!いいじゃない!」

何を着てもそう言う、母のいつもの台詞をもらう。

 

「うーん、でも、着られてない?ワンピースの威力に追いつけない」

否定してみるものの、ちょっと欲しくなってる自分がいる。

 

「良かったら外の大きな鏡でどうぞ」

美人店員の言われるまま、大きな鏡で見る。

こうゆう時、他の店員やお客さんがいて恥ずかしいんだよなぁ、と思っていたその時。

 

「おめめちゃん!これね!石原さとみも同じの着たんだって!石原さとみ!」

 

その時の私の顔を、誰か撮っておいて欲しかった。

母の大きな声に、他の客の目線が、一気に私に集中したのがわかる。

 

続けて美人店員も「そうなんですよぅ!ドラマで!」と続ける。

 

私の目は完全に死んでいただろう。

頭の中は全面謝罪しかない。

ホント、私なんかが着てすみません。

 

石原さとみが衣装で着ていただけで、それを着たら石原さとみになれます?

 

なれねぇ。

 

「えー!じゃあ、買います!」ってなる?

 

なんねぇ。

 

「ホントにお似合いですよ」

美人店員が盛り上がるが、私はもうこの地獄から早く抜け出したくてたまらない。

 

「とりあえず、着替えます」

そう言って試着室に戻り、美人店員にイエローのニットワンピースを渡し、少し考える旨を伝えた。

 

「あれ似合うの、たぶん、石原さとみだけだよ」と母に告げると

「そんなことないよ!おめめちゃんも、とっても似合ってた!」励ましてもらった。

 

すごい可愛い、、、でも、石原さとみの重圧がハンパない。

 

石原さとみになったら買うわ」

「やだ、面白い、おめめちゃん。でも、石原さとみは色違いだって」

「え?」

石原さとみは、違う色だって」

 

 

私の家のクローゼットには、イエローのニットワンピースがかかっている。

 

 

 

食卓にストレス

「作りすぎだ」

「よね」

夫に言われると思ったので、自分でも食い気味に認めた。

 

料理が好きだ。ストレス発散の1つになるから。

料理はいい。無心になれる上、出来上がりがわかりやすい。完成はこれだ!というのが、ほぼ確定している。

そして上手くいけば美味しい。

お酒も進む。スバラシイ。

 

仕事で疲れて帰ってきても、包丁を握ると、私はもう職人だ!の勢いで料理をし、食べきれるはずもない品数を黙々と作り始める。

気付くと、あれ?養豚場かな?

100パー食べきれない量になってしまっている時がある。

私は大満足だ。自分の作り上げた料理の数々に恍惚とする。ストレスも軽減され、自分を褒めたくなる。

 

そんなわけで、我が家の食卓にズラリと並ぶ料理=私のストレス指数である。

 

秋野菜のバーニャカウダ、鶏の唐揚げ、シーチキンとレタスのマカロニサラダ、ポテトのチーズオーブン焼き、エリンギと明太子のマヨネーズ和え、バタートーストのラムレーズンクリームチーズのせ。

 

部活で忙しい食べ盛りの長男もいなければ。

「ちょっと、あんた、ダイエットするんじゃなかったのー?」と声をかける長女もいない。

「おかーさん!今日タクヤ君くるから!」と友達を連れてくる末っ子もおりません。

 

ふ・た・り暮らし。

単に私のストレスです。

 

そこで、夫にダイレクトに伝えてみた。

どうして多くなるのか?

ストレスが多いからだよ、ストレスの数だけ料理が並ぶよ!

 

「、、、なんかヤダ」

 

そうだろうよ。

 

この告白で、我が家の夕食が夫のストレスにならないことを祈る。

わたしのやうなにんげん

数年前に勤めていた会社の、私の直属の上司が辞めると連絡がきた。

 

本社の経理にいる女性からだ。

本社が都外にあるため、上司に会いに東京にくるので、夜、上司も含めて一緒食事でも、とのこと。

私も最終的には責任のある立場にいたが、色々あって、最低な思いをして辞めた会社。

今更どうなのかと思ったが、もうずいぶん昔のことだ、と割り切り、行くことにした。

 

上司とは、まぁまぁうまくやってたつもりだ。

私より年下だが、一生懸命だし、天然で可愛いところもあった。

数字を作るのに、残業を沢山したし、上司が社長に責められた時も、私は必死に守った。

上司がお客さんから、好意を持たれてしまい、大ごとになった時も、間に入って鎮静させた。

その分、助けてもらったこともある。

私は社長と、社長が連れてきた新社員と揉めて辞めてしまったけど。

 

 

経理がわざわざ東京にくるのだし、上司も主役なので店探しをかって出た。上司は肉が好きとのこと、都内の有名店を経理に提案したが、連絡が途切れた。

 

ギリギリだとお店も取れないしなぁ、と思っていたところ、経理から、上司から私に連絡をするように言ってあるが、来てないか、の確認連絡が。

 

私に上司からは連絡がきていない。

どうも、経理の話を掘り下げてみると、上司は私と会うのが嫌らしい。

 

やっぱりそうか、と思った。

 

 

その数日後、つい数ヶ月前まで働いていた会社の同僚と飲んだ。

そこで、あまり関わりのなかった他部署の女性が辞めたと聞いた。

その女性は社内不倫の常連であり、男性社員6人と関係を持っていたので、あまり自分から関わらなかった、というのが真実。

私は不倫現場を目撃したこともあるし、不倫した社員の男から直接聞いてしまったりしたし、第一に、その女がペチャクチャ誰と寝ただの周りに喋るから、勝手に耳に入ってきた。

でも、私は誰にも言わなかった。

私はそうゆう話で盛り上がれない。どうでもいい、どうでもいいから、私には関わるな、のタイプだ。

 

私も酔っていたが、同僚も酔っ払っていて、ふいに

「2人とも辞めたから言うけどさぁ」

 

「久保さん、おめめのこと超嫌いって言ってたよ」

 

私は酔いがさめた

 

「なんか、偽善者ぶってるし、自分が嫌な人のことも嫌いじゃないです、みたいなアピールするし、そーゆー人、イヤなんだよねって」

 

やっぱり、そうか。

 

全人類から好かれたいと思ってないし、

会社の人間に好かれたいと思ってもいない。

 

それでも、自分が誰かに「嫌われている」という事実を目の当たりにすると、思いの外、痛いものですね。

 

月並みですが、私はそんなつもり、ありませんでした。

数年前の会社でも、数ヶ月前の会社でも、私は必死でした。

仕事だから。

私は働きにきているから。

 

誰かの事を嫌いになるのは、仕事上だけだ。

だって仕事じゃないか。

友達でもなんでもない。

私には、わからないことばっかり。

 

だけど

私のことを嫌いな人がいる代わりに、

今日も、私のことを好きで、大切にしてくれている人たちがいる。

 

ありがとう。