資格
蕎麦が大好きで、3年ほど前に蕎麦鑑定士という資格を取った。
そして思った。
蕎麦、大好き、それだけで良かった。
蕎麦博士になりたいわけでも、蕎麦職人になりたいわけでもなかった。
あたい、うまい蕎麦が食べられれば、それで良かった。
なんで取ったんだろうと。
そう、資格ってやつぁ、取れば終わりじゃない。生かさないと、あまり意味がないように思える。
私は可哀想なくらい勉強ができない。
算数は分数でつまづいてるし、
英語も「MIKE」を「ミケ」とか読んでたし、
何よりも教科書の登場人物で、「ケンとサラは実は付き合ってて」みたいな妄想をして遊んでいたヤベー奴だ。
そんな奴が30オーバーになってみてごらんなさい。
みなさん、もう、これは事件です。
本当に今までよく生きてこれたなぁと思う。
ノリなのか。
馬鹿なりに一生懸命やってきたからか。
周りに恵まれていたのか。
このまま老いていく一方なら、
何か資格でも取りたいと思い、近所のドラッグストアでユーキャンのカタログをもらってきた。
ネットでも事前に調べてみて、質問に答えて自分に合う資格を判断して教えてくれるっつぅやつをやったが、私に合う資格が何回やっても「ファイナンシャルプランナー」一択だった。
なんでや。
むしろ、プラン立ててもらう側だわ。
とりあえず、カタログをパラパラ。
めちゃくちゃ資格がある。迷う。困る。
「薬膳コーディネーター」ほほう。
最近、養命酒を飲み始めた私にピッタリじゃない?
私、冷え性だしさ、漢方とか気になってるよ!
難易度も一番低い星1つだし。
コレにしようかな。
いやいや待て待て、落ち着け。
二の舞じゃなかろうか?
あの、蕎麦の二の舞。
この資格取って、夕食に薬膳食作る?
漢方料理の店に勤める?
ないな。
「ケアマネジャー」
「カラーコーディネーター」
うーん。
イマジン。
想像してみよう、未来の私。
「行政書士」
はっ、カバチタレ。
ドラマの方ね。
あれ好きだったわー。
そっからは、簡単だった。
学生時代に培ってきた妄想癖が大暴走。
完全に脳内、深津絵里。
いつの間にか、見た目まで「小柄でショート」になっている脳内の私。
六法も危ういくせに「雄弁」な脳内の私。
ドントストップミーナウ。
気付いたら、寝てた。
起きたら開きっぱなしのユーキャンのカタログがあった。
そっと閉じて、また寝た。
こんな奴に、資格を取る資格はないと思う。