おめめの歯形

自分の足跡を残すというより、必死に食らいついて歯形くらいしか残せない

ひとりごと

私は泣きながら、昨夜の残りのアヒージョとクルミバケットを1人で食べた。 


明日はいい日になる、なんて誰が保証してくれるのだろう。


自分が丁寧に生きたところで、いとも簡単に他人にぶち壊されている。


缶のまま、口をつけたビールは汗をかいて、ぬるくなるのも時間の問題だ。


生まれただけで、特別だと思っていた。
私はとても、あまりにも普通の人間だけども。


生まれた時、父母、祖父祖母、兄、親戚一同、とにかく小さな世界の中で、私は特別ではなかったのか。


学生時代に親友だと思っていた友達。


私のことを好きだと言ってくれた人たち。


私はいつから、誰の特別でもなくなったのだろう。


シーフードのアヒージョだから、白ワインが良かったな、と今更思うし、パンは太るから夜は避けてたのにな、とかも今更思う。


涙は。
一向に止まらない。


私は帰り道、私が一体何をしたんだと、秋の空気にぶつけたけど、大好きな秋に悪いことしたなぁと思い、すぐに反省した。


このビールを飲んで、熱めのお風呂につかって、早く寝よう。早くこの夜が通り過ぎて、明日も明後日も、週末も11月と12月も33歳も丑年もとにかくぜーんぶ、一気にぶわぁーって通り過ぎて、なくれなればいい。
なくなっちゃえばいい。私なんて。


私なんて。