おめめの歯形

自分の足跡を残すというより、必死に食らいついて歯形くらいしか残せない

言ってなかったけど、夏より冬のが好き

私は知っている 
「経験値」が問われるなら、だいぶ、ある


最初は楽しい
ドキドキして
顔がニヤけて
用もないのにスマホを見ては一喜一憂


「これが好き」
「これは嫌い」
に敏感になって


新しい服を買って靴を買って
迷走したり


それでも嬉しいことがいっぱい


行きたいところは沢山で
過ごしたい時間も沢山で


読まなかった本を開き
聴かなかった音楽を聴き
買わなかったものを買う


おかしいな、と思わないようにしたって
一回思ったら、もうおしまい


楽しいな、が、楽しいといいな、になって

悲しいと苦しいと辛いの割合が多くなって


気付けば


約束が守られなかっただけ


クローゼットには袖を通していない服か増えただけ
棚には好みではなかった本が増えただけ


あんなに緊張していたスマホチェックは
画面が滲むようになっただけ


名前が一個、無くなっただけ


いつから1人だったのかなぁ、と思う


最後の言葉は「ごめんね」
謝られるのは、いつも、私の方