マナー
映画が好きだ。
とても好き。
「通」でも、
「マニア」でも、
「博士」でもない。
単に、好き。
映画館の特別感も、またいい。
劇場って、非日常へ連れて行ってくれる。
そのため私たちも、
その世界に足を踏み入れるには、
その世界の「マナー」を守らないといけない。
さて。
本日、レディースデーということも手伝い、見逃していた話題作を観に近くの映画館へ。
話題+人気作なので、何回も足を運ぶ人もいると聞いていた通り、公開から日が経っているにも関わらず、結構な人数が観に来ていた。
もちろん、レディースデーなので女性が多数を占めていた。
自身で選んだ、通路側の席へ腰を下ろすと、ぐっと高揚感が増す。
俄然、楽しみになってくる。
携帯の電源を切り、上映まで待つ。
通路を挟んだ斜め下の席に、母娘の姿があった。娘さんは4、5歳だろうか。
字幕がわかるのかしら、という素朴な疑問を抱きつつ、まぁ雰囲気でもわかりそうな作品だからなぁ、なんて思っていた。
スクリーンに、上映に先立ってのマナーが流れると、先程の母娘の母親が娘に、「◯◯ちゃん、聞きましたか?マナーを守ってくださいね」
と言い、娘も元気よく「はーい!」と言っていた。
続いて予告編が流れ、いよいよ本編がはじまる。
正直、好みのテイストではないが、話題になるだけあり、徐々に世界観に引き込まれる。
と、映画の中で、観客が拍手をするシーン、おや?と、すぐ近くでも拍手が聞こえる。
エンドロールでもなんでもない、序盤のシーンの出来事だ。
音のする方をみると、先程から登場している、母娘の娘ちゃんが手を叩いていた。
映画の中では、観客が足を鳴らし始めた。
すると、娘ちゃんも席から立ち、足を鳴らしはじめた。
これは、いいのか。ありなのか。
この作品は、一緒に皆んなで踊りましょう!的なテーマがあるのか。
私が知らないだけかもしれない。
しばらくして、母親がやんわりと席に座らせていた。
こうなってくると、もう、この母娘が気になってしまう。
今日はもうダメだな、と心の中で思っていた。
こうなると作品がしっかり入ってこない。
その後も、色々な箇所で娘ちゃんが反応していた。
さらに、途中で母親のスマホがなった。
嘘だろ、と思った。
静かなシーンではなかったので、音はそこまで響いてなかったが、そういうことじゃあないよ。
そして暗い客席に灯る、絶対不必要な光。
慌ててはいるが、ちゃっかりスマホチェックしている。
おいおい、さっきマナー守れって言ってたのドコノドイツダヨ。
不快指数が着実に増えていく。
最後の方、娘ちゃんはまさかの通路まで出てきて踊っていた。
母親は戻すことも注意もしない。
斜め下の通路の階段で踊る4、5歳の女児、、、
暗いし、転倒でもしないか気が気ではない。
周りの人はどう思っているのだろう。
私の不快指数は頂点まで達していた。
それでも、エンドロール後までしっかり見届けた。
場内が明るくなり、娘は母親のところまで戻り「すごいおもしろかったから、たくさんおどったよ!」と言っていた。
意味がわからない。
私の心が狭いのか?
子供がいないからわからないのか?
親の責任だよ、完全にコレ。
まず、映画は自由に観るものだと思う。
ただ、そこは公共の場である。
大勢の人がいる、映画の鑑賞の仕方もそれぞれだろう、だからこそ共通のマナーがある。
しかしマナーは、携帯の電源を落とし、喋らないこと、席を蹴らないこと、などあるが、確かに「通路で踊ってはいけません」も、「上映中、拍手や足を鳴らしてはいけません」のアナウンスはない。
じゃあ今回のってOK?いやいや、基本中の基本は静かに観ることじゃないの?
大前提に、周りの人に迷惑になりそうな行動や言動はしてはいけないよね?
兎にも角にも、私は腑に落ちなかった。
レディースデーでお手頃価格とはいえ、
私も映画を楽しみに、料金を払って観にきている。
母娘にとって、自分たちの思うままに楽しんだ時間は、私にとっては苦痛を伴う時間だった。
あまりにも微妙な感情になったから、
帰ってこの作品のことを調べたら、
「応援上映」なるものの存在を知った。
これは、この作品に限らず行われているもので、近頃人気の上映スタイルでもあるそう。
それは、発声、拍手、手拍子、コスプレOK!
そんなまさか!と思う内容。
さらには、サイリュウムとペンライトも使用可となっていた。
驚愕である。
もちろん、これは特別ルール。
その上映の時だけ、皆で楽しみましょう!ってこと。
うん、ここじゃね?
母娘が行くべきとこ、ここじゃね?
今日はさ、普通の上映の日じゃんかって思ってしまった。
そーゆうのあんならさ、そっちで思い切りやったらいいじゃない。
それでも、お母さん、貴方ね、スマホの電源を落とすってゆう、当たり前のことだけはしましょう。
モヤモヤな気持ちは残るが、それでも作品に罪はない。